発表会やコンサートでホールのフルコンサートグランドを弾いたとき、
またはショールームで高級ピアノを弾いたときに
「いつもより上手になった気がする」
そう感じたご経験はありませんか?
ショールームでお客様からこのセリフをお聞きしたことは何度もあります。
今回はこの感覚は正しいのか、どういった現象なのか考えたいと思います。
- 美しい音と表現
- イメージと弾き方
- 良いピアノの特徴
この辺りを整理して考えることでこの感覚の正体が掴めそうです。
美しい音と表現
例えばピアノの鍵盤を1つだけポーンと弾いてみてください。これがふくよかで伸びのある、いわゆる美しい音と感じられるとき
ピアノのポテンシャルを引き出した理想に近い弾き方です。
これが2音以上になると音と音の関係がとても重要になります。
大雑把な言い方をすれば、この音と音の関係がピアノにとって最も身近な「音楽表現」です。
イメージと弾き方
ピアノを習われている方は、ある程度弾けるようになってくるとピアノの先生から「音をしっかりイメージして弾いて」と言われることがあると思います。
音や表現のイメージが演奏から感じられないときや、そのイメージがぼんやりとしているときに
きっと先生はそう注意するのだと思います。
また、頭の中で明確にイメージを掴んでいても
身体の使い方や弾き方がイメージと合っていない場合は理想の表現にはなりません。
良いピアノに共通する特徴
一概に良いピアノといっても良さは様々で好みも様々ですから、当社の展示品のように良い設計・良い素材・良い作り・良い調整のピアノを良い環境で弾くときのことを
漠然と想像していただけたらと思います。
これらのピアノを弾くときに共通する大きな特徴の1つに
「弾き方による違いを如実に表現する」という点があります。
これはピアノの表現力やピアノのポテンシャルと言い換えることも出来ます。
こういったピアノは弾き手のイメージを明確に表現してくれる利点に加えて
イメージが希薄な場合や身体の使い方が上手くいっていない場合に
よりはっきりとした形で汚い音やイメージに合わない表現になる、そんな厳しい一面も持ち合わせています。
つまり、演奏の良いところも悪いところもはっきり反応するのが良い楽器の特徴です。
なぜ、上手くなった気がしたのか?
ご自宅のピアノ等、普段よく弾かれているピアノと同じような弾き方で「なんだか上手くなった気がする」と感じたら、
それはあなたが理想に近い弾き方でイメージ通りの音や表現のアプローチをし、
それをピアノがはっきりとした形で応えてくれているということです。
部分的だったり、ある単音が美しく感じたりといったことはあるかも知れませんが、
どちらにしても良いピアノは素直で正直な反応を示してくれたということです
良いピアノで練習することの素晴らしさ
もし普段から良いピアノで練習していたらどうなるのでしょうか?
イメージが明確なのか希薄なのか、弾き方が理想に近いのか遠いのか、
何が良くて何がダメなのかが浮き彫りになり、より良い演奏へ向かうことが出来るはずです。
更に、ピアノとの深い対話によって弾き手が気付いていなかった潜在的な表現力を引き出し
新たな表現に対する欲求を高めてくれるのです。
ピアニストが良い楽器を求めるのは、こういった理由も大きく関わっています。
今回は良いピアノで弾いたときに上手になった気がする現象について考えました。
良いピアノは、ただただ素直にあなたのアプローチを音や表現に具現化してくれていたのです。
ピアノが自分に語りかけてくる、そんな毎日を送ってみませんか?